スピリットガイドの苦労
とある電気設備工事会社を経営する男性。 若くして独立した彼は、現場で働きながら社長業もこなし、会社を発展させてきました。 小さな会社ではありましたが業績はまあまあで、自分の仕事に誇りを持っていたこの男性は、将来は長男に会社を継がせたいと密かな期待をしていました。 長男は長男で、幼い頃から、懸命に働く父親の姿を見て、将来は父親のようになりたいと淡い尊敬の気持ちを抱いていました。 真面目に働く男性の姿は、長男に堅実さを植え付け、学校の成績も良い線を保つことができていました。 長男が中学生になった時、学校で三者面談がありその男性は初めて長男の胸の内を聞くことになります。 仕事が忙しくてなかなか家族と深い会話ができないでいた男性は、長男の「電気工事士になりたい」という希望を聞いてとても嬉しく感激しました。 男性は考えました、「よし、長男がこの道に進みたいなら、自分は他の誰よりも多くのことを教えてあげることができるし、資格を取るために効率的な方法だってわかっている」と。 そして「将来の資格勉強のために、今から何か電気の仕組みを理解できるものになじませておいてあげたいなあ」とも。 そこで長男にごく簡単な電子工作キットを何点か買い与えてみたところ、長男は四苦八苦しながらも器用に組み立てあげることができました。 仕事の忙しさを押して一緒に手伝った男性は、父親らしいところを見せることができて喜びました。 さすがに蛙の子は蛙、その後長男は様々な電子工作キットを組み上げながら少しずつ電気的な知識や手先の技術を蓄えていきました。 そのうちに長男はもっとすごいものを作ってみたいと思うようになり、一人でパソコンキットの組み立てに挑戦します。 今までやってきた工作よりも時間も手間もかかりましたが、苦労して組み立てあげたパソコンは特別な存在に感じました。 しかしこのパソコンの完成が、順調だった長男の成長に影を落とします。 作ったら実際に動かしてみたくなるのが人情というもの。 長男はそのうち自作のパソコンを通してネットの面白さに目覚めます。 動画サイト、オンラインゲーム、チャット…と、今まで限られた世界で生きてきた真面目な中学生には、これらの外の世界は刺激的すぎました。 そのうちに長男は、学校から帰宅すると、日に何時間もパソコンの前に座って、ネットに耽るようになってしまったのです。 当然学校の成績は