スピリチュアルショッピング

 スピリチュアル(spiritual)とは「霊現象や霊媒現象に関わるもの、あるいは宗教に関わるもの」のことです。これに当てはまらないものは厳密にはスピリチュアルを名乗る資格はありません。しかしながらこの日本においてはスピリチュアルという言葉はとても幅広い意味で捉えられており、有象無象のスピリチュアル業界という言葉がぴったりと当てはまってしまいます。本当のスピリチュアルに関わっている側から見ると、これはとても残念な状況です。

 そんな有象無象な業界とは言え、根強い信望者がいるのも事実です。自分の気持ちの赴くままにこっちのスピ系に首を突っ込んでいたかと思えば、いつの間にか別のスピ系へ、あれこれかけもちしてるんだぁと思ったらまた違うスピリーダーの下へと、スピ系を転々としている方は少なくありません。

 実際には購入しないものの、あれこれ商品を見比べて歩くことをウインドウショッピングと言いますね。今時はネット上で買い物をする機会も増えてきているので、あちらこちらのサイトを巡ることをネットサーフィンという表現をすることもありますが、やはりリアルでウインドウショッピングをする事は楽しいものです。

 これと似たような表現でドクターショッピングというものがあります。文字どおりドクター(医師)をあちこち見比べて歩く様子を表しています。ドクターショッピングをする時のケースは主に二つあると言われています。

 一つはすでに自分の病状について確定診断がされていて、本人もその診断に納得しているのですが、より良い治療法があるのでは無いかと考えて医師を転々とするケース。

 もう一つは、自分の病状についての診断に納得がいかず、自分が求める答え(診断)を提供してくれるまで医師を転々とするケースです。

 前者の場合、よほどのヤブ医者でない限り、提供される医療はどこでも大きな違いは無いですし、自分の手に負えない症例であればより良い医療機関を紹介してくれるシステムが日本では確立しています。よくテレビなどで最新の治療法だの手術法として、医師をカリスマに仕立て上げたような番組作りをしていますので、より良い治療法を求めたい気持ちがわからないわけではありません。が、現実はその様な最新の手術法なり治療法をその医師が独り占めしているわけでは無いのです。論文や研修会という形で、優れた方法は直に日本中に広まっていく仕組みになっているのです。

 後者の場合も現実は同じような状態です。何千人何万人という医療従事者が日々臨床で研究や調査をし、論文という形で発表し続けています。論文は査読を経て、全国の臨床に還元されて活用されています。ですから診断の付き方についても、どこの医療機関でもほぼ差は無いのです。

 このようにドクターショッピングをするどちらのケースでも、その努力は徒労に終わることが多いのです。一般的に言えば、医療機関を三、四軒も巡ればおおよその病状や治療内容、医師の良し悪しは目処がつくはずです。セカンドオピニオンという制度もありますので、それを有効活用すれば良いのではないでしょうか?

 それなのに、自分が納得できるまで、あるいは自分が求める答えが得られるまで医師を何軒も何軒も転々とするのなぜなのでしょう?今述べたようなシステムが確立されているという事の周知不足という医療提供側の問題もあります。が、ドクターショッピングをする方に、もともと他人の意見には耳を貸さないという気質があったり、自分だけが正しいと思う潜在意識、さらには自分の考えの正しさを証明してほしいという承認欲求などが入り組んだ複雑な心理状態が働いていると言うことができます。

 スピリチュアルショッピングをしている人の心理状態にも同様な事が当てはまります。しかしながらスピリチュアルショッピングにはドクターショッピングとは違う危険性が潜んでいます。それはスピ業界はその参入障壁がとても低いという事が挙げられます。

 残念ながら医療のようにほぼ均質なサービスを提供できる仕組みが、スピ業界には存在していません。また、スピ業界には知識やスキル、経験を客観的に測るシステムや公的な免許制度が存在していません。極論ですが、スピ系の書籍を一冊聞きかじっただけで看板を掲げる事さえ可能なのです。さらには業界として統一された理論なり見識も存在しませんので、各々が各々の主観で言いたいことを言っているのが現状なのです。未熟な知識、未熟なスキル、未熟な経験、未熟な人間性…、残念ながらこういった未熟さが蔓延しているのがスピ業界の現状です。

 あちらのスピ、こちらのスピと転々としているうちにどんどん混乱が深まっていき、挙げ句の果てに以前よりも精神的に不安定になってしまった方を少なからず知っています。そして現実を直視できず、考え方が現実から乖離していき、どこか夢の国の住人になったかのような言動をし、フワフワとして地に足が付かなくなってしまった人のことも少なからず知っています。

 スピ系に興味を持つきっかけは、何かしら人生に問題が生じたからというケースが多数です。中には不思議な力で奇跡的に問題を解決してもらうことを期待したり、何かしらの魔法をかけてもらって自分自身が生まれ変わるような事を期待したり、ただ単に不思議な体験をしてみたいというような、およそ理性のある大人とは思えない幼稚な動機で興味を持つ方もいますが、そういった方はとことん迷路にはまっていただいて、痛い目にあう事でしか自分の幼稚さに気づく事はできないでしょうから、こういう方にとってはスピリチュアルショッピングも意義がないわけではありません。

 しかしながら、そうではなく、今まで受けてきた教育や、自分の中の常識が通用しなくなった現実に直面し、もっと内面的なものやより深い哲学的なものにその答えを見出そうとするような、真摯な動機でスピ系に興味を持たれた方にとっては未熟なスピ業界は災いでしかありません。

 


 スピリチュアル(spiritual)とは「霊現象や霊媒現象、あるいは宗教に関わるもの」のことです。本物のスピリチュアルとは、霊媒現象を通して真理を伝えるもののことであり、この世のあるいは宇宙の真実を明らかにしてくれるものです。その真実があなたが抱えている問題に対して、より実践的な解決法を見つけ出すヒントを与えてくれるのです。本物のスピリチュアルとは決してふわふわとしたものではなく、地にしっかりと足をつけて、現実と向き合う勇気を与えてくれるものです。現実世界で役に立つとても実践的なものなのです。

 スピリチュアルに興味を持ったあなた、スピ選びはよくよく慎重に、このブログを参考にしながらご自身の理性をフル動員して選択して下さい。

 そしてスピリチュアルショッピング中のあなた、ご自身をもっと客観的に見つめましょう。人生に問題を抱えている事を認めましょう。お辛いかもしれませんが、ご自分の弱さや欠点をご自身で認める事が不毛なスピリチュアルショッピングから抜け出す第一歩となります。自身の弱さや欠点を認め、さらけ出せる事が本当に強い人間、勇気ある人間と言えるのです。

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